万葉集巻第八1469‐1473番歌(あしひきの山ほととぎす)~アルケーを知りたい(1387)
▼ホトトギスの歌4首。1469の沙弥は、出家したばかりの人という意味。誰かは分からない。1472と1473は問答歌というほどではないけれど、堅魚のつぶやきに似た歌に対して大伴旅人がホトトギスに託して自分の心情を述べた歌。
沙弥が霍公鳥の歌一首
あしひきの山ほととぎす 汝が鳴けば家なる妹し常に偲はゆ 万1469
*山ホトトギスよ、お前の鳴き声を聞くと家で留守番している妻を思い出す。
刀理宣令が歌一首
もののふの石瀬の杜のほととぎす 今も鳴かぬか山の常蔭に 万1470
*石瀬の杜のホトトギスよ、今、鳴いてくれないか、山の中で。
式部大輔石上堅魚朝臣が歌一首
ほととぎす来鳴き響もす卯の花の 伴にや来しと問はましものを 万1472
右は、神亀五年戊辰に、大宰帥大伴卿が妻大伴郎女、病に遇ひて長逝す。
その時に、勅使式部大輔石上朝臣堅魚を大宰府に遣はして、喪を弔ひ幷せて物を賜ふ。
その事すでに畢、駅使と府の諸卿大夫等と、ともに記夷の城に登りて望遊する日に、すなはちこの歌を作る。
*ホトトギスが来てよく鳴いています。卯の花の伴連れとして来ているのか尋ねてみたいものです。
大宰帥大伴卿が和ふる歌一首
橘の花散る里のほととぎす 片恋しつつ鳴く日しぞ多き 万1473
*橘の花が散る里のホトトギスは、亡き妻を思い出しては鳴く日が多いようです。
【似顔絵サロン】同時代の乱、672年の壬申の乱の関係者:武家王 たけいえのおおきみ ? - ? 飛鳥時代の皇族。栗隈王の子。栗隈王が大友皇子の命に従わない場合、殺す命を帯びていた佐伯男を兄弟の三野王と共に威圧。
三方 沙弥 みかたのさみ / 山田 三方 やまだ の みかた / ? - ? 飛鳥時代~奈良時代の貴族・学者。
刀利 宣令 とり の せんりょう ? - ? 奈良時代の官人・学者。氏は土理・刀理とも記す。百済系の渡来氏族。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=8
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