万葉集巻第八1474‐1476番歌(ひとり居て物思ふ宵に)~アルケーを知りたい(1388)
▼1474と1475の歌を詠んだ大伴坂上郎女は大伴旅人の妹。旅人は任地先の大宰府で妻を亡くしたので、叔母の坂上郎女が残された兄弟を育てた。1480と1481を詠んだのが弟の書持。兄は家持。兄弟ともに母亡きあと、叔母の坂上郎女に育ててもらったわけだ。▼ホトトギスの鳴き声は東京特許許可局。
大伴坂上郎女、筑紫の大城の山を思ふ歌一首
今もかも大城の山にほととぎす 鳴き響むらむ我れなけれども 万1474
*今でも大城の山でホトトギスがよく鳴いていることでしょう。私はそこにはいませんけど。
大伴坂上郎女が霍公鳥の歌一首
何しかもここだく恋ふるほととぎす 鳴く声聞けば恋こそまされ 万1475
*どうしてこれほど私はホトトギスを恋しいと思うのでしょうか。人恋しさがまさるばかりというのに。
小治田朝臣広耳が歌一首
ひとり居て物思ふ宵にほととぎす こゆ鳴き渡る心しあるらし 万1476
*ひとりで物思いにふける夜。鳴きながら飛んでいくホトトギスがいます。私の気持ちが分かってるようです。
大伴書持が歌二首
我がやどに月おし照れりほととぎす 心あれ今夜来鳴き響もせ 万1480
*今夜は私の家には月がよく照っている。思いやりがあるならホトトギスよ、家に来て鳴いておくれ。
我がやどの花橘にほととぎす 今こそ鳴かめ友に逢へる時 万1481
*ホトトギスよ、今こそ私の家の花橘に来て鳴いておくれ。今、友達と会っているところなので。
【似顔絵サロン】同時代の乱、672年の壬申の乱の関係者:美努王/三野王 みぬおう/みのおう ? - 708和銅元年6月22日 飛鳥時代の人物。父は栗隈王。壬申の乱の前、父と面談した佐伯男から兄弟の武家王と共に父を守る。
小治田 広耳 おわりだの ひろみみ ? - ? 奈良時代の歌人。
大伴 書持 おおとも の ふみもち ? - 746天平18年 奈良時代の貴族・歌人。父親は大伴旅人。大伴家持の弟。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=8
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