万葉集巻第八1587‐1591番歌(黄葉の過ぎまく惜しみ)~アルケーを知りたい(1400)

▼1588と1589の「かざしつ」は黄葉の枝を頭のかんざしにする、と解釈しました。手に持ってかざす、というわけではないだろうと思って。1590は「風のまにまに」がナイスフレーズ。1591は「思ふどち」という好きな言葉があるので、好きになります。

あしひきの山の黄葉今日もか 浮かび行くらむ山川の瀬に 万1587
 右の一首は大伴宿禰書持
*奈良山の黄葉は今日も山あいの川の瀬を浮かんでは流れているのでしょう。

奈良山をにほほす黄葉手折り来て 今夜かざしつ散らば散るとも 万1588
 右の一首は三手代人名
*奈良山を彩っている黄葉を手折り、今夜かんざしにしました。後は散るなら散ってよろしい。

露霜にあへる黄葉を手折り来て 妹はかざしつ後は散るとも 万1589
 右の一首は秦許遍麻呂
*露霜に逢った黄葉を手折って参りました。妻がかんざしにしたので後は散ってもよろしい。

十月しぐれにあへる黄葉の 吹かば散りなむ風のまにまに 万1590
 右の一首は大伴宿禰池主
*十月の時雨に逢った黄葉は、風が吹けば散ります。風のまにまに。

黄葉の過ぎまく惜しみ思ふどち 遊ぶ今夜は明けずもあらぬか 万1591
 右の一首は内舎人大伴宿禰家持。
 以前は、冬の十月の十七日に、右大臣橘卿が旧宅に集ひて宴飲す。
*黄葉の季節が過ぎるのを惜しみ、仲間が集まって遊ぶ今夜は明けないで欲しいものです。

【似顔絵サロン】大伴 書持 おおとも の ふみもち ? - 746 奈良時代の貴族・歌人。父親は大伴旅人。大伴家持の弟。















三手代人名 みてしろ の ひとな ? - ?  奈良時代の歌人。















秦許遍麻呂 はだ の こへまろ ? - ? 奈良時代の歌人。















大伴 池主 おおとも の いけぬし ? - 757 奈良時代の官人・歌人。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=8

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