万葉集巻第八1651‐1654番歌(梅の花折りも折らずも)~アルケーを知りたい(1404)

▼沫雪は何だ?と思って調べると泡のようにふわっとした雪を言うらしい。1651は、ふわっとした雪が降り続くので梅の初花を見逃して散ってしまうよお、と困っている感じのようだ。1652と1653は、読み手に、なにかありました?と伺いたくなるくらい、歌の裏に真情がありそうに響く。1654に出てくる浅茅は何だ?と思って調べてみたら、屋根をふくのに使う草で枯れる前がススキ、枯れた後が茅(カヤ茅に浅がつくと、短い茅とか、まばらに生えてる茅のこと。子どもの頃、茅の葉で手を切って痛かった。あの長い葉の縁はナイフみたいで要注意です。

 大伴坂上郎女が歌一首
沫雪のこのころ継ぎてかく散らば 梅の初花散りてか過ぎなむ 万1651
このところ沫雪が降り続いています。この調子では梅の初花が散ってしまいそうです。

 他田広津娘子が梅の歌一首
梅の花折りも折らずも見つれども 今夜の花になほ及かずけり 万1652
*これまで梅の花を見ては折ったり折らなかったりしてきました。でも今夜の見事な花には及びません。

 県犬養娘子、梅に寄せて思ひを発す歌一首
今のごと心を常に思へらば まづ咲く花の地に落ちめやも 万1653
*今のように平常心を保っていましたら、早咲きの花が地面に落ちるようなことはないでしょう。

 大伴坂上郎女が雪の歌一首
松蔭の浅茅の上の白雪を 消たずて置かむことはかもなき 万1654
*松の木陰の浅茅の上に積もった白雪が見事です。消えずそのままにしておけないのが残念です。

【似顔絵サロン】大伴 安麻呂 おおとも の やすまろ 640 - 714 飛鳥時代~奈良時代の公卿・歌人。坂上郎女の父。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=8

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