万葉集巻第九1665‐1669番歌(朝霧に濡れにし衣)~アルケーを知りたい(1406)

▼1665と1667に出てくる玉は、岸辺の貝、あるいは丸くなった白い石。作者が贈り物に、と思って拾う歌。1668は白崎という場所に、1669は南部浦の潮に、まるで場所や潮が言葉が分かるかのように呼びかけている歌。

 岡本の宮に天の下知らしめす天皇の紀伊の国に幸す時の歌二首
妹がため我れ玉拾ふ 沖辺なる玉寄せ持ち来沖つ白波 万1665
*妻への贈り物にと思って玉を拾っています。白波が沖から岸辺に持って来たです。

朝霧に濡れにし衣干さずして ひとりか君が山道越ゆらむ 万1666
 右の二首は、作者未詳。
*朝の霧で湿った衣を干さないまま、私の夫は独りで山道を超えているのでしょう。

 大宝元年辛丑の冬の十月に、太上天皇・大行天皇、紀伊の国に幸す時の歌十三首
妹がため我れ玉求む沖辺なる 白玉寄せ来沖つ白波 万1667
 右の一首は、上に見ゆることすでに畢りぬ。ただし、歌辞少しく換り、年代相違ふ。よりて累ね載す。
*妻のために私は玉を探しています。沖にある白玉を白波が岸に運んでくれるのです。

白崎は幸くあり待て大船に 真楫しじ貫きまた帰り見む 万1668
*白崎はそのままでいて欲しい。大型船の船旅から戻ったときにまた見たいから。

南部の浦潮な満ちそね 鹿島にある釣りする海人を見て帰り来む 万1669
*南部浦の潮よ、満ちないでおくれ。鹿島で釣りをする漁師を見て帰りたいから。

【似顔絵サロン】皇極天皇 こうぎょくてんのう 594 - 661 第35代天皇。皇極天皇としての在位:642年2月19日 - 645年7月12日。第37代天皇。斉明天皇としての在位:655年2月14日 - 661年8月24日。舒明天皇の皇后。天智天皇・天武天皇の母親。















持統天皇 じとうてんのう 645 - 703 第41代天皇。中大兄皇子の娘。天武天皇の皇后。















文武天皇 もんむてんのう 683 - 707 第42代天皇。父親は草壁皇子。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=9

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