万葉集巻第九1712‐1715番歌(落ちたぎち流るる水の)~アルケーを知りたい(1415)
▼今回は、月、鳥、風を詠った作品4首。捻りや匂わせがなくこうだからこうだ、という真っすぐな歌い方がいいなあ、素敵だなあ。
筑波山に登りて月を詠む歌一首
天の原雲なき宵にぬばたまの 夜渡る月の入らまく惜しも 万1712
*天一面雲のない夜なので、月が地平に沈んでしまうのが惜しい。
吉野の離宮に幸す時の歌二首
滝の上の三船の山ゆ秋津辺に 来鳴き渡るは誰れ呼子鳥 万1713
*滝の上に見える三船山から秋津に来て鳴いている鳥。誰を呼んでいるのか、呼子鳥。
落ちたぎち流るる水の岩に 触れ淀める淀に月の影見ゆ 万1714
右の三首は、作者未詳。
*滝から落ちて流れる水が岩で淀んでいる。その水面に月が写っているのが見える。
槐本が歌一首
楽浪の比良山風の海吹けば 釣りする海人の袖返る見ゆ 万1715
*比良山から風が海へ吹くと、漁をしている海人の袖が翻っているのが見える。
【似顔絵サロン】槐本 つきもと ? - ? 万葉の歌人。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=9
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