万葉集巻第九1751‐1752番歌(い行き逢ひの坂のふもとに)~アルケーを知りたい(1425)
▼今回も旅の歌。1751番の長歌の最後に「風祭」という魅力的な言葉が出てくる。花を吹き散らさないようにする祈りのようだ。1752番の短歌は、妻がここにいれば、この桜を一緒に見れるのに残念という気持ちを述べた歌。反歌は長歌の趣旨をまとめる歌と思っていたら、今回の組合せでそうでもない事例もあることを知った。
難波に経宿りて明日に還り来る時の歌一首 幷せて短歌
島山を い行き廻れる
川沿ひの 岡辺の道ゆ
昨日こそ 我が越え来しか
一夜のみ 寝たりしからに
峰の上の 桜の花は
滝の瀬ゆ 散らひて流る
君が見む その日までには
山おろしの 風な吹きそと
打ち越えて 名に負へる杜に
風祭せな 万1751
*一晩で峰の上の桜の花が散って川に流れています。藤原宇合様がご覧になるまで風で散り果てないよう、風祭をしなければ。
反歌
い行き逢ひの坂のふもとに咲きををる 桜の花を見せむ子もがも 万1752
*竜田山の麓で咲いている桜を見せてやれる妻がここに居たらよいのに。
【似顔絵サロン】740年、藤原広嗣の乱の関係者:紀 飯麻呂 きの いいまろ 690 - 762 奈良時代の公卿。父親は紀古麻呂。藤原広嗣の乱では、持節大将軍・大野東人の下で征討副将軍。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=9
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