万葉集巻第九1755‐1756番歌(かき霧らし雨の降る夜を)~アルケーを知りたい(1427)
▼鶯(うぐいす)への托卵で生まれた霍公鳥(ほととぎす)の歌。よそに行かずウチにいて鳴いてくれ、と呼び掛ける。
霍公鳥を詠む一首 幷せて短歌
うぐひすの 卵の中に
ほととぎす ひとり生まれて
汝が父に 似ては鳴かず
汝が母に 似ては鳴かず
卯の花の 咲きたる野辺ゆ
飛び翔り 来鳴き響もし
橘の 花を居散らし
ひねもすに 鳴けど聞きよし
賄はせむ 遠くな行きそ
我がやどの 花橘に
棲みわたれ鳥 万1755
*うぐいすの卵の中でひとりで生まれたほととぎす。卯の花が咲く野辺で一日中鳴いて聞き飽きることがない。餌をやるから遠くに行かず我が家の花橘に棲んで欲しいよ。
反歌
かき霧らし雨の降る夜をほととぎす 鳴きて行くなりあはれその鳥 万1756
*急に霧がたって雨が降り出した夜。ほととぎすが鳴きながら飛んで行きます。味わい深い鳥です。
【似顔絵サロン】740年、藤原広嗣の乱の関係者:阿倍 虫麻呂 あべ の むしまろ ? - 752 奈良時代の貴族・万葉歌人。佐伯常人と共に藤原広嗣の乱を鎮圧する官軍のリーダー。軍四千人を率いて藤原広嗣軍と交戦。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=9
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