万葉集巻第十1841‐1845番歌(冬過ぎて春来るらし)~アルケーを知りたい(1434)
▼1841と1842は、雪が舞い落ちる様子を梅の花びらに例えた歌とそのツッコミの歌。ひとつ詠って乙に構えていると何言ってんだよ、というやりとりが脱力系で良き。この後に続く1843から1845は春霞を描いた歌。前の二つの歌の後なので、あとひとつ何か刺激が欲しくなる。
山高み降り来る雪を梅の花 散りかも来ると思ひつるかも 一には「梅の花咲きかも散ると」といふ 万1841
*高い山の方から降ってくる雪。梅の花が散っているのかと思いました。<梅の花が咲いて散るのかと>
雪をおきて梅をな恋ひそあしひきの 山片付きて家居せる君 万1842
右の二首は、問答。
*雪を差し置いて梅を恋しがっているのですか。山裾に家を構えていらっしゃるというのに。
霞をよむ
昨日こそ年は果てしか春霞 春日の山に早立ちにけり 万1843
*昨日こそ年末を過ごしたというのに早くも春霞が春日の山に立っています。
冬過ぎて春来るらし朝日さす 春日の山に霞たなびく 万1844
*冬が過ぎ、春になったらしい。朝日が指す春日山に霞がたなびいています。
うぐひすの春になるらし春日山 霞たなびく夜目に見れども 万1845
*ウグイスが鳴く春になりました。夜目にも春日山に霞がたなびいているのが見えます
【似顔絵サロン】740年、藤原広嗣の乱の関係者:大和 長岡 やまと の ながおか 689 - 769 奈良時代の貴族・明法家。広嗣の乱に連座して流罪のち赦免。役人に復帰、地方官。仁恵なしと言われた人物。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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