万葉集巻第十1886‐1889番歌(白雪の常敷く冬は)~アルケーを知りたい(1445)

▼1886番は町で偶然知人に会った時にも応用できそう。1888番の「白雪の常敷く冬」が厳しい寒さを感じさせる美しい表現。1889番の「下心」は、悪だくみの意味になっているけど、この歌ではそうではない。心の下、底からじわりと嬉しい、という感じ。

 懼逢
住吉の里行きしかば春花の いやめづらしき君に逢へるかも 万1886
*住吉村を進んでいると、春の花のように心惹かれる貴方様に出逢いました。

 旋頭歌
春日にある御笠の山に月も出でぬかも 佐紀山に咲ける桜の花の見ゆべく 万1887
*春日にある御笠山に月が出てくれないかな。佐紀山で咲いている桜の花が見えるように。

白雪の常敷く冬は過ぎにけらしも 春霞たなびく野辺のうぐひす鳴くも 万1888
*いつも白雪が積もる冬の季節が過ぎたようです。春霞がたなびく野原でウグイスの鳴き声が聞こえます。

 譬喩歌
我がやどの毛桃の下に月夜さし 下心よしうたてのこのころ 万1889
*私の家の毛桃の木の下に月光が差しています。何となく嬉しい気持ちになるこの頃です。

【似顔絵サロン】740年、ポスト藤原広嗣の乱の人々:和気 清麻呂 わけ の きよまろ 733 - 799日 奈良時代末期~平安時代初期の貴族。道鏡が天皇になって良いものか宇佐八幡に出かけて神託を聞き、朝廷に報告した。道鏡の意に反する内容だったので、散々な目に遭わされる。朝廷が変わり名誉回復できたので幸い。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10

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