万葉集巻第十2098‐2101番歌(我が衣摺れるにはあらず)~アルケーを知りたい(1447)
▼今回は、鹿、秋萩、白露、秋田という名詞で季節を感じる。秋萩や秋田の「秋」が効いているんだな。「散らまく」「枯らさむ」「にほふ」「摺れる」で出来上がる。今日はどこの野辺に行って衣を摺らむ。
奥山に棲むといふ鹿の宵さらず 妻どふ萩の散らまく惜しも 万2098
*奥山に棲む鹿は毎夕、雌鹿の所に行くけれど、そのときに萩の花が散ってしまうのが惜しい。
白露の置かまく惜しみ秋萩を 折りのみ折りて置きや枯らさむ 万2099
*白露が降りて秋萩の花が散るのが惜しいから、今のうちに折れるだけ折っておいたら枯れてしまうだろうか。
秋田刈る仮廬の宿りにほふまで 咲ける秋萩見れど飽かぬかも 万2100
*秋に稲刈りをするための小屋を照らし出すほど咲く秋萩はいくら眺めても飽きません。
我が衣摺れるにはあらず高松の 野辺行きしかば萩の摺れるぞ 万2101
*私の衣は染めたのではありません。高松の野原に行って萩の花の色で染まったのです。
【似顔絵サロン】740年、ポスト藤原広嗣の乱の人々:光仁天皇 こうにんてんのう 709 - 782 第49代天皇。天智天皇の孫。藤原百川の推しを受けた。奈良時代最後の天皇。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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