万葉集巻第十2118‐2121番歌(恋しくは形見にせよと)~アルケーを知りたい(1452)
▼和歌独自の言い回しがある。今回の歌はそれを持っているように思ふ。2118は「いまだ飽かなくに」、2120は「またも逢はめやも」、2121は「散らまく惜しも」。このフレーズを使うだけで表現が和歌っぽくなりそう。
朝霞のたなびく小野の萩の花 今か散るらむいまだ飽かなくに 万2118
*朝の霞がたなびく小野で咲いている萩の花が今にも散りそうです。まだ見飽きていないというのに。
恋しくは形見にせよと我が背子が 植ゑし秋萩花咲きにけり 万2119
*恋しくなったら思い出すよすがにしなさいと私の夫が植えてくれた秋萩の花が咲きました。
秋萩に恋尽さじと思へども しゑやあたらしまたも逢はめやも 万2120
*秋萩に気持ちを持っていかれないようにと思うのだけれど、いやはやこれは滅多にお目にかかれない見事な秋萩です。
秋風は日に異に吹きぬ高円の 野辺の秋萩散らまく惜しも 万2121
*秋風が日ごとに強く吹くようようになりました。高円の野原の秋萩が散ってしまうのが惜しいです。
【似顔絵サロン】785年、藤原種継暗殺事件の関係者:春原 五百枝 はるはら の いおえ 760 - 830 平安時代初期の公卿。市原王の子。志貴皇子の玄孫。藤原種継事件の後、伊予国へ流罪。805年、赦免され帰京。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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