万葉集巻第十2126‐2129番歌(秋風に大和へ越ゆる)~アルケーを知りたい(1454)
▼2126と2127はすれ違いの歌、そこはかとない悲しさを感じる。2128と2129も雁が出て来るけど、悲しさの味が前の二首とは少し違う。目の前の花か、遠い空を飛ぶ雁か、の違いからか。
秋萩は雁に逢はじと言へればか <一には「言へれかも」といふ> 声を聞きては花に散りぬる 万2126
*秋萩は雁には逢わない、と言い伝えがあります。そのとおり、雁の声が聞こえる時期になると花が散ります。
秋さらば妹に見せむと植ゑし萩 露霜負ひて散りにけるかも 万2127
*秋になったら妻に見せよう植えていた萩。露霜がおりて花が散ってしまいました。
雁を詠む
秋風に大和へ越ゆる雁がねは いや遠ざかる雲隠りつつ 万2128
*秋風に乗って大和方面に飛んでいく雁の一隊がだんだんと遠ざかって雲に隠れています。
明け暮れの朝霧隠り鳴きて行く雁は 我が恋妹に告げこそ 万2129
*明け方まだ暗いうちに朝霧に隠れるようにして鳴きながら飛んでいく雁よ、私の思いを妻に伝えてくれ。
【似顔絵サロン】785年、藤原種継暗殺事件の関係者:大伴 竹良 おおとも の たけら ? - ? 奈良時代後期の貴族。大伴継人の弟。藤原種継暗殺事件で死罪(斬首)。矢を射った実行者。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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