万葉集巻第十2134‐2137番歌(つとに行く雁の鳴く音は)~アルケーを知りたい(1456)
▼2134の「秋風の吹き来るなへ」の「なへ」が良い味を出している。周辺という意味らしい。2135の「おしてる」は難波にかかる枕詞というんだけど、おもしろい。おもしろいから例えば電通大の枕詞を考えてみた。電波を飛ばす、言葉を飛ばす、ことばす電通大なんてどうだろう。こうしてみると枕詞は現代はキャッチコピーなのか(笑)。2136を見ていると、羽毛服が強力に暖かい理由が分かる。霜が降る冷え込みでも雁は寝られるんだから。2137の「つとに行く」の「つと」は朝早くの意味。そういわれれば枕草子も「冬はつとめて」と言ってた。
葦辺にある萩の葉さやぎ秋風の 吹き来るなへに雁鳴き渡る 一には「秋風に雁が音聞こゆ今し来らしも」といふ 万2134
*葦辺に生える萩の葉がさやいでいます。そのように秋風が吹きよせてくる周辺で雁が鳴きながら飛んでいます。
おしてる難波堀江の葦辺には 雁寝たるかも霜の降らくに 万2135
*難波堀江の葦辺で雁が寝ているのでしょう。霜が降りているだろうに。
秋風に山飛び越ゆる雁がねの 声遠ざかる雲隠るらし 万2136
*秋風に乗って山を飛び越えている雁の鳴き声が遠ざかっています。雲に入っていくのでしょう。
つとに行く雁の鳴く音は我がごとく 物思へれかも声の悲しき 万2137
*早朝に飛び行く雁の鳴き声は、私のようにものを思っての声だろうか。そう思うと悲しく聞こえます。
【似顔絵サロン】785年、藤原種継暗殺事件の関係者:大伴 永主 おおとも の ながぬし ? - ? 奈良時代後期の貴族。大伴家持の子。785年、藤原種継暗殺事件では、前月に没していた父・家持が首謀者とされ永主も連座して隠岐国へ流罪。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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