万葉集巻第十2146‐2149番歌(山の辺にい行くさつ男は)~アルケーを知りたい(1459)

▼鹿の声がうるさいから山の近くに住むのはお勧めしない、という2146番。鹿狩り行く猟師が多いというのに山でも野でも鹿が鳴いている、という2147番。そんな鹿の鳴き声を人に聞かせたい気持ちを詠う2148番。猟師に狙われるリスクを冒してまで鹿が鳴く理由を解く2149番。鹿はどんな鳴き声か気になってくる。猫の鳴き声がうるさかったのが懐かしく思える。今回の4首は、見ているうちに笑顔になる歌。

山近く家や居るべきさを鹿の 声を聞きつつ寐寝かてぬかも 万2146
*山の近くの家に住むのはやめたほうがいい。雄鹿の鳴き声がうるさくて寝るに寝られませんから。

山の辺にい行くさつ男は多かれど 山にも野にもさを鹿鳴くも 万2147
*山に狩りに行く猟師が多いというのに、山でも野でも雄鹿が出て鳴いています。

あしひきの山より来せばさを鹿の 妻呼ぶ声を聞かましものを 万2148
*山を通ってきたならば、雄鹿が雌鹿を呼ぶ鳴き声が聞けたことでしょうに。

山辺にはさつ男のねらひ畏けど を鹿鳴くなり妻が目を欲り 万2149
*山には猟師に狙われるのが怖いけれど、それでも雄鹿は雌鹿に逢いたくて鳴くのです。

【似顔絵サロン】785年、藤原種継暗殺事件の関係者:藤原 雄依/小依 ふじわら の おより ? - ? 奈良時代から平安時代初期の貴族。藤原永手の次男。785年、藤原種継暗殺事件に連座して隠岐国へ流罪。805年、流罪となっていた五百枝王らと共に赦されて帰京。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10

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