万葉集巻第十2150‐2153番歌(山遠き都にしあれば)~アルケーを知りたい(1460)
▼今回は萩と鹿を組み合わせで秋の情緒がしみる4首。それぞれの歌に特徴のある言葉がある。2150は「おほほしみ」、2151は「乏しくもあるか」、2152は「ともしみ」、2153は「露を別けつつ」。これらと萩と鹿が結合すると、あら不思議、秋の風情がしみる歌になる。
秋萩の散りゆく見ればおほほしみ 妻恋すらしさを鹿鳴くも 万2150
*秋萩が散るのを見ると気持ちが萎えるので、雄鹿は雌鹿に逢いたくて鳴くのです。
山遠き都にしあればさを鹿の 妻呼ぶ声は乏しくもあるか 万2151
*山から遠く離れた都にいるので、雄鹿が雌鹿に呼びかける声は聞こえませんね。
秋萩の散り過ぎゆかばさを鹿は わび鳴きせむな見ずはともしみ 万2152
*秋萩が散ってしまうと雄鹿はわびしく鳴くのだが、萩の花が見られないといって。
秋萩の咲きたる野辺はさを鹿ぞ 露を別けつつ妻どひしける 万2153
*秋萩が咲いた野原では雄鹿が、露を払いのけながら雌鹿のところに通っています。
【似顔絵サロン】785年、藤原種継暗殺事件の関係者:林 稲麻呂 はやし の いなまろ ? - ? 奈良時代の官人。785年、藤原種継暗殺事件で早良親王が春宮を廃されると、東宮学士として仕えていた稲麻呂も連座して伊豆国へ流罪。806年、恩赦。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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