万葉集巻第十2174‐2177番歌(春は萌え夏は緑に)~アルケーを知りたい(1466)
▼秋の風情を詠った作品四首。2174番の作者は農家か、農家に雇われた人の作と思ふ。稲刈りは一気に済ませたいので田んぼの近くにテント(仮廬)を作って寝泊まりしていたようだ。冷え込む夜はさぞ寒かったことだろう。その寒さを強調した歌が2175番。露が降りると萩の花の時期も終わり、という。2176番は稲刈りが進むと露が下りる穂や葉がなくなる、露の立場で詠う。2177番は春から秋までの山の色の変化を詠う歌。作者は、秋が最高、と思っているようだが、どうだろう。
秋田刈る仮廬を作り我が居れば 衣手寒く露ぞ置きにける 万2174
*秋、稲刈り用の仮小屋を作って入っていると、袖口は寒く露までおりたよ。
このころの秋風寒し萩の花 散らす白露置きにけらしも 万2175
*この頃は秋風が寒くなってきました。萩の花を散らす露も降り始めています。
秋田刈る苫手動くなり白露し 置く穂田なしと告げに来ぬらし 一には「告げに来らしも」といふ 万2176
*秋の稲刈りをする小屋の苫が風で動きます。白露が下りる稲穂がありませんと言いに来ているようです。
山を詠む
春は萌え夏は緑に紅の まだらに見ゆる秋の山かも 万2177
*春は萌え、夏は緑一色、いまは紅葉がまだらに見える秋の山です。
【似顔絵サロン】785年、藤原種継暗殺事件の関係者:桓武 天皇 かんむてんのう 737 - 806 第50代天皇。平城京から長岡京および平安京への遷都を行った。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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