万葉集巻第十2178‐2181番歌(九月のしぐれの雨に)~アルケーを知りたい(1467)
▼2178と2179番は、秋の歌。2180番は歌に九月と詠みこまれている。2181番は「寒き朝明」と寒さが詠われている。この歌を見ると万葉の時代は家の中にいても外の天気や物音が今よりもよく伝わってきたのだろう、と今昔の違いが分かる。分かるとよりいっそう時々聞こえる鳥の音がありがたいと思ふ。
黄葉を詠む
妻ごもる矢野の神山露霜に にほひそめたり散らまく惜しも 万2178
*矢野の神山が露霜のために見事に色づいた黄葉が散るのが惜しいです。
朝露ににほひそめたる秋山に しぐれな降りそありわたるがね 万2179
右の二首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。
*朝露に染まったような秋山に時雨よ降らないでおくれよ。
九月のしぐれの雨に濡れ通り 春日の山は色づきにけり 万2180
*九月の時雨の雨ですっかり濡れた春日山が色づいています。
雁が音の寒き朝明の露ならし 春日の山をもみたすものは 万2181
*雁の鳴き声が寒々と聞こえる明け方。春日山を色づかせるのは朝の露だろう。
【似顔絵サロン】785年、藤原種継暗殺事件の間接的な関係者:神王 みわおう 737 - 志貴皇子の孫。榎井王の子。右大臣。桓武天皇の近親として桓武朝後半の治世を支え全うした。礼儀正しく慎み深い性格、飾ることなく、物事にも執着せずあっさりしていた。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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