万葉集巻第十2215-2218番歌(さ夜更けてしぐれな降りそ)~アルケーを知りたい(1476)

▼秋は時雨は降らないで欲しい、というのも秋萩の黄葉が散ってしまうから。春のいまも雨は降らないで欲しい、風も強く吹かないで欲しい、というのも桜花が散ってしまうのが惜しいから。春も秋も散って終わる時の移りがある。色がちょっと違うかな。

さ夜更けてしぐれな降りそ秋萩の 本葉の黄葉散らまく惜しも 万2215
*夜が更けてから時雨には降らないでもらいたい。秋萩の黄葉が散ってしまうのが惜しいから。

故郷の初黄葉を手折り持ち 今日ぞ我が来し見ぬ人のため 万2216
*故郷の初黄葉を手折って持ち帰りましょう。まだ見ていない人に今日の土産として。

君が家の黄葉は早散りにけり しぐれの雨に濡れにけらしも 万2217
*貴方様の家の黄葉はとっくに散ってしまったことでしょう。時雨の雨に濡れて。

一年にふたたび行かぬ秋山を 心に飽かず過ぐしつるかも 万2218
*一年の間に二度もない黄葉の秋の山ですが、十分に味わうことなく過ぎてしまいました。

【似顔絵サロン】万葉集の編集人、大伴家持(718-785)の人脈:橘 奈良麻呂 たちばな の ならまろ 721 - 757 奈良時代の公卿。橘諸兄の子。757年、橘奈良麻呂が藤原仲麻呂に対して乱を起こすも敗北し獄死。関わっていた大伴池主と大伴古麻呂は獄死、大伴古慈斐は流罪。家持はお咎めなしだったが、758年に40歳で因幡守として地方転勤となる。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10

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