万葉集巻第十2223-2226番歌(天の海に月の舟浮け)~アルケーを知りたい(1478)
▼今回は、秋の月の歌四首。天に月というダイナミックな夜空の風景を見ながら、月人壮士が舟を漕ぐという具体的な姿を描いた歌の2223番。月人壮士に親しみが湧く。桂は舟材として古くから使われていたとう。ここはリアルなのだ。
月を詠む
天の海に月の舟浮け桂楫 懸けて漕ぐ見ゆ月人壮士 万2223
*大空の海に月の舟を浮かべ、桂の楫で漕ぎ進む月人壮士が見えます。
この夜らはさ夜更けぬらし 雁が音の聞こゆる空ゆ月立ち渡る 万2224
*今夜は更けたようです。雁の鳴き声が聞こえる空を月が渡っています。
我が背子がかざしの萩に置く 露をさやかに見よと月は照らし 万2225
*私の夫がかんざしにする萩に降りた露がよく見えるように、と月が照っています。
心なき秋の月夜の物思ふと 寐の寝らえぬに照りつつもとな 万2226
*明るい秋の月夜に物思いしていると、寝るに寝られないくらい月がよく照ってます。
【似顔絵サロン】万葉集の編集人、大伴家持(718-785)の人脈:淳仁天皇 じゅんにんてんのう 733 - 765 第47代天皇。在位(758 - 764)。天武天皇の皇子・舎人親王の七男。764年、藤原仲麻呂の乱の後、孝謙上皇から「仲麻呂と関係が深かった」と見なされ廃位、死去。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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