万葉集巻第十2227-2230番歌(思はぬにしぐれの雨は)~アルケーを知りたい(1479)
▼雨上がりの夜、空に月が出ている清涼感あふれる2227番。この歌はなぜ爽やかに感じるのだろう。冒頭が予想外の時雨、でも空の雲が晴れると、月夜がさやけし、という順で説明がある。変化の後の「さやけし」が効いていると思ふ。締めの言葉が大事なのだな。
思はぬにしぐれの雨は降りたれど 天雲晴れて月夜さやけし 万2227
*予想してなかった時雨が降ったけれども、空が晴れて清らかな月夜になりました。
萩の花咲きのををりを見よとかも 月夜の清き恋まさらくに 万2228
*萩の花が枝一杯に咲いています。その様子を見なさいと言わんばかりに月夜が清らかです。
白露を玉になしたる九月の 有明の月夜見れど飽かぬかも 万2229
*白露を玉にする九月の有明の月はいくら見ても見飽きません。
風を詠む
恋ひつつも稲葉かき別け家居れば 乏しくもあらず秋の夕風 万2230
*家が恋しいと思いながら、稲刈り用の小屋にいると、秋の夕風がなかなかの具合で吹いてくる。
【似顔絵サロン】万葉集の編集人、大伴家持(718-785)の人脈:光仁天皇 こうにんてんのう 709 - 782 第49代天皇(770 - 781) 天智天皇の孫。光仁天皇の時期、家持は上昇気流に乗り正五位下から参議、公卿を経て従三位まで昇級。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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