万葉集巻第十2235-2238番歌(天飛ぶや雁の翼の)~アルケーを知りたい(1481)

▼2235と2237番は自分ひとりなので寂しい、孤独だ、という気持ちの歌。反対に2236番は、ポジティブな気持ちの歌。同じ時雨でも、捉え方の違いで歌の調子ががらっと変わる。2238番は霜がどこから降りて来るのかを考察した歌。空を飛ぶ雁の翼から霜がきらきらと降りてくるようなビジュアルの現代的な感覚

秋田刈る旅の廬りにしぐれ降り 我が袖濡れぬ干す人なしに 万2235
*旅の途中、雨になったので小屋に入ったんだけど、濡れた服を乾かしてくれる人はいない。

玉たすき懸けぬ時なく我が恋ふる しぐれし降らば濡れつつも行かむ 万2236
*いつも待ち望んでいた時雨が降れば、濡れても私は出かけますよ。

黄葉を散らすしぐれの降るなへに 夜さへぞ寒きひとりし寝れば 万2237
*黄葉を散らす時雨が降るのに加え夜の寒さがきつい。特に一人で寝ていると。

 霜を詠む
天飛ぶや雁の翼の覆ひ羽の いづく漏りてか霜の降りけむ 万2238
*天空を飛ぶ雁の翼の羽のどこから漏れて霜が降りて来たのでしょう。

【似顔絵サロン】万葉集の編集人、大伴家持(718-785)の人脈:氷上 川継/河継 ひがみ の かわつぐ ? - ? 奈良時代後期から平安時代初期の貴族。天武天皇の曾孫。782年、氷上川継が朝廷を転覆する謀反を計画するも事前に発覚して失敗。家持(64)と坂上苅田麻呂が官職を解かれた。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10

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