万葉集巻第十2316-2319番歌(夕されば衣手寒し)~アルケーを知りたい(1483)

▼今回は雪を詠う四首。歌の対象が遠くの山だったり、空だったり、庭だったり、と距離感いろいろ。2319番は上の句で衣手が寒く感じるのでと言い、下の句で山を見ると木に雪が、と言って、近距離と遠距離を一句のうちにまとめている。

 雪を詠む
奈良山の嶺なほ霧らふうべしこそ 籬が下の雪は消ずけれ 万2316
*奈良山の嶺はいまだに霧が覆っています。だから籬の下の雪も消えずに残っているのですね。

こと降らば袖さへ濡れて通るべく 降りなむ雪の空に消えにつつ 万2317
*雪は同じ降るなら袖まで濡れるくらい降って欲しいのに、空で消えてしまってます。

夜を寒み朝戸を開き出で見れば 庭もはだらにみ雪降りたり 一には「庭もほどろに雪ぞ降りたる」といふ 万2318
*夜が寒かったので朝、戸を開けて外に出て見ると庭には雪が降っていました。

夕されば衣手寒し高松の 山の木ごとに雪ぞ降りたる 万2319
*夕方になるとたもとのあたりが冷える。それもそのはず高松の山の木ごとに雪が降っています。

【似顔絵サロン】万葉集の編集人、大伴家持(718-785)の人脈:坂上 犬養 さかのうえ の いぬかい 682 - 765 奈良時代の貴族・武人。若い頃から武芸の才を発揮。聖武天皇が信頼。父は坂上大国。子は苅田麻呂。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10

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