万葉集巻第十2320-2323番歌(我が背子を今か今かと)~アルケーを知りたい(1484)

▼今回は雪の歌四首。どっさり降る雪ではなく、ほどろほどろに降る風情。沫雪という言葉が出て来るのが二首。雪の博士、中谷宇吉郎は雪を天からの手紙と表現した。今回の四首も天からの手紙を受け取った人の思いが詠われているよう。宇吉郎、うまいことを言った。

我が袖に降りつる雪も流れ行きて 妹が手本にい行き触れぬか 万2320
*私の袖に降りかかる雪が妻の手元まで流れて触れないものか。

沫雪は今日はな降りそ白栲の 袖まき干さむ人もあらなくに 万2321
*沫雪は今日は降らないでもらいたい。なぜなら白栲の袖を巻き上げて干してくれる人がいないから。

はなはだも降らぬ雪ゆゑこちたくも 天つみ空は曇らひにつつ 万2322
*あまり大して降る雪でもないのに、空一面曇っている。

我が背子を今か今かと出で見れば 沫雪降れり庭もほどろに 万2323
*私の夫の帰りを今か今かと待って外に出て見ると沫雪がうっすらと庭に積もっています。

【似顔絵サロン】万葉集の編集人、大伴家持(718-785)の人脈:坂上 苅田麻呂 さかのうえ の かりたまろ 728 - 786 奈良時代の公卿・武人。父が坂上犬養。子が田村麻呂。代々弓馬の道を世職とし馳射(走る馬から弓を射る)を得意とする武門の一族。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10

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