万葉集巻第十2332-2350番歌(思ひ出づる時はすべなみ)~アルケーを知りたい(1487)
▼今回は万葉集巻第十の最後の4首。見えない月を詠ったり、來るであろう人を詠ったり、ここにいて欲しいけれどいない人を詠っている。中でも豊国の由布山の雪で不在の人を詠う2341番は寂しく美しい。
月を詠む
さ夜更けば出で来む月を高山の 嶺の白雲隠すらむかも 万2332
*夜が更ければ出てくるはずの月を高山の嶺の白雲が隠しているのかも。
思ひ出づる時はすべなみ豊国の 由布山雪の消ぬべく思ほゆ 万2341
*思い出すとどうしようもないので大分の由布山の雪のように消え入るばかり。
花に寄す
我がやどに咲きたる梅を月夜よみ 宵々見せむ君をこそ待て 万2349
*我が家の庭で咲いた梅。月が良いのでお見せしたくお待ちしています。
夜に寄す
あしひきの山のあらしは吹かねども 君なき宵はかねて寒しも 万2350
*山嵐は吹いてないけれども貴方様のいらっしゃらない夜は最初から寒々しいです。
【似顔絵サロン】万葉集の編集人、大伴家持(718-785)の人脈:山上 憶良 やまのうえの おくら 660 - 733 奈良時代初期の貴族・歌人。726年に筑前守。728年、大宰帥として赴任した大伴旅人や満誓と共に筑紫歌壇を形成。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10
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