万葉集巻第十七3903-3906番歌(春雨に萌えし柳か梅の花)~アルケーを知りたい(1491)
▼春の明るい気分の歌四首。うち二首が梅の花を折り取ろうとする歌。それにしても当時、どうやって小枝を取っていたのだろう。ぽきっと折れるものでもない。攀じり取ると花が散りそうだし、キレイに取れなさそう。小刀を使っていたのだろう、と思いたいが、無粋になるか。どうやって取っていたのかが気になる。3906番はたくさんの梅の花がいちど空に舞い上がり、雪になって降ってくるというイメージの歌。攀じり取るのが気になった後の口直しとして爽やかだ。
春雨に萌えし柳か梅の花 ともに後れぬ常の物かも 万3903
*春雨で萌えだした柳の花、梅の花。いつものとおりどちらも後になりたくない様子。
梅の花いつは折らじといとはねど 咲きの盛りは惜しきものなり 万3904
*梅の花を折り取ろうと思うけど、花が盛りの時は、惜しいものだ。
遊ぶ内の楽しき庭に梅柳 折りかざしては思ひなみかも 万3905
*庭で楽しく遊んで梅と柳を折りかざしていると心残りがなくなりますね。
御園生の百木の梅の散る花し 天に飛び上がり雪と降りけむ 万3906
右は、十二年の十二月の九日に、大伴宿禰家持作る。
*御園に植わっているたくさんの梅の花はいちど天に昇り、雪として地上に降ってくるのでしょう。
【似顔絵サロン】大伴家持(718-785)と同時代の人びと:紀 清人/浄人 き の きよひと ? - 753 奈良時代の貴族・学者。紀大人の孫。優れた学者として重んじられた。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=17
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