万葉集巻第十七3907-3910番歌(楯並めて泉の川の)~アルケーを知りたい(1492)
▼今回出て来る久邇の都とは740年から744まで聖武天皇が都にしていた場所。現在は京都府相楽郡加茂町。京都はすごい所だわ。
三香の原の新都を讃むる歌一首 幷せて短歌
山背の 久邇の都は
春されば 花咲きををり
秋されば 黄葉にほひ
帯ばせる 泉の川の
上つ瀬に 打橋渡し
淀瀬には 浮橋渡し
あり通ひ 仕へまつらむ
万代までに 万3909
*久邇の都は春には花、秋には黄葉、泉川の上流には打橋、淀には浮橋があります。この先いつまでも末永くこの都で仕えたい。
反歌
楯並めて泉の川の水脈絶えず 仕へまつらむ大宮ところ 万3908
*泉川の流れの絶えることがないのと同じくこの大宮所に仕えて参ります。
右は、天平十三年の二月に、右馬頭境部宿禰老麻呂作る。
霍公鳥を詠む歌二首
橘は常花にもがほととぎす 棲むと来鳴かば聞かぬ日なけむ 万3909
*橘の花が一年中咲いていたらホトトギスが住みついていつも鳴き声が聞けるのですが。
玉に貫く楝を家に植ゑたらば 山ほととぎす離れず来むかも 万3910
右は、四月の二日に、大伴宿禰書持、奈良の宅より兄家持に贈る。
*薬玉にする楝を家に植えたならば、山ホトトギスがいつも来てくれるかも、です。
【似顔絵サロン】境部 老麻呂 さかいべ の おゆまろ ? - ? 奈良時代の貴族。「楯並めて泉の川の水脈絶えず 仕へまつらむ大宮ところ 万3908」の作者。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=17
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