万葉集巻第十七3911-3913番歌(あしひきの山辺に居れば)~アルケーを知りたい(1493)
▼兄の家持が弟の書持に送った歌三首。読んで良いなと思うものの、なぜそう思ったのか分からない。家持は、橙橘が咲き霍鳥が鳴く時期、鬱結の気分だったらしい。それを和歌にして弟に送った。自分の気分を訴えられる相手がいるのは幸い。
橙橘初めて咲き、霍鳥翻り嚶く。
この時候に対ひ、あに志を暢べざらめや。
よりて、三首の短歌を作り、もちて鬱結の緒を散らさまくのみ。
あしひきの山辺に居ればほととぎす 木の間立ち潜き鳴かぬ日はなし 万3911
*山辺で暮らしているとホトトギスが木の間に来て鳴かない日はありません。
ほととぎす何の心ぞ橘の 玉貫く月し来鳴き響むる 万3912
*ホトトギスは何を思って橘の玉を貫く月にやって来ては鳴き声を響かせるのでしょう。
ほととぎす楝の枝に行きて居らば 花は散らむな玉と見るまで 万3913
右は、四月の三日に、内舎人大伴宿禰家持、久邇の京より弟書持に報へ送る。
*ホトトギスがセンダンの枝にとまると花が散り、まるで玉のように見えます。
【似顔絵サロン】紀 男梶/小楫/男楫 き の おかじ ? - ? 奈良時代の貴族。紀麻路の子。
3924番「山の峡そことも見えず一昨日も 昨日も今日も雪の降れれば」の作者。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=17
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