万葉集巻第十七3918-3921番歌(あをによし奈良の都は)~アルケーを知りたい(1495)

▼前回の二首と合わせてホトトギスと鶉の歌、合計六首。家持の作品。最後の3921番が猟の歌で前の歌と調子が違う。これは鷹を使った猟ではないだろうか。だから鳥の括りに入れたのだと思ふ。ファッションにも気を配っていて、家持の猟好きぶりが伝わる。

橘のにほへる園にほととぎす 鳴くと人告ぐ網ささましを 万3918
*橘の花の香が満ちた庭でホトトギスが鳴いていると人が知らせてくれた。やっぱり網で囲っておくべきだった。

あをによし奈良の都は古りぬれども ほととぎす鳴かずあらなくに 万3919
*奈良の都は古びたけれども、ホトトギスが鳴かないことなどないのだ。

鶉鳴く古しと人は思へれど 花橘のにほふこのやど 万3920
*鶉などが鳴いて古びた家だなと人は思うかも知れない。けれど、花橘の香りが満ちる家なのだよ。

かきつはた衣に摺り付けますらをの 着襲ひ猟する月は来にけり 万3921
 右の六首の歌は、天平十六年の四月の五日に、独り平城故郷の旧宅に居りて、大伴宿禰家持作る。
*カキツバタの花の色を衣に摺り付けながら男たちが猟をする月が来ました。

【似顔絵サロン】葛井 諸会 ふじい の もろえ ? - ? 奈良時代の貴族。万3925の作者。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=17

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