万葉集巻第十七3926番歌(大宮の内にも外にも)~アルケーを知りたい(1497)
▼橘諸兄をはじめとする朝廷の重鎮が中宮の雪掃きに集い、宴を開いて和歌を詠んだ。締めが家持。後書きで、歌を詠んだ人はもっといたのに、その歌が記録に漏れた、とある。このメンバーに声をかけたのは橘諸兄。でも諸兄の歌がない。これは漏れたのではなく詠まなかったから。秦朝元が「歌の代わりにジャコウをお出ししては」冗談を言ったという。ジャコウは高価な香料。諸兄の豊かさと皆さんの歌の価値の高さをうまく言い表していると思ふ。
大伴宿禰家持、詔に応ふる歌一首
大宮の内にも外にも光るまで 降らす白雪見れど飽かぬかも 万3926
*大宮の内も外も光輝くまで降る白雪はいくら見ても見飽きません。
藤原豊成朝臣、巨勢奈弖麻呂、大伴牛養宿禰、藤原仲麻呂朝臣、三原王、智努王、船王、邑知王、小田王、林王、穂積朝臣老、小田朝臣諸人、小野朝臣綱手、高橋朝臣国足、太朝臣徳太理、高丘連河内、秦忌寸朝元、楢原造東人
右の件の王卿等、詔に応へて歌を作り、次によりて奏す。
その時に記さずして、その歌漏り失せたり。
ただし、秦忌寸朝元は、左大臣橘卿に謔れて云はく、「歌を賦するに堪へずは、麝をもちてこれを贖へ」といふ。
これによりて黙してやみぬ。
【似顔絵サロン】秦 朝元 はた の あさもと ? - ? 奈良時代の官人。遣唐留学僧・弁正の子。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=17
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