万葉集巻第十七3970-3972番歌(出で立たむ力をなみと)~アルケーを知りたい(1506)

▼前回の3696番の長歌に幷せた短歌3首。それぞれ、山桜を一緒に見られたらどんなに嬉しいか、ウグイスの鳴き声を聞ける貴方様が羨ましい、自分は外に出る気力が湧かず貴方様に会いたいと思うばかりで心もとなし、と詠う。こういう歌を詠んで贈る友達を持つ家持がうらやましい。

あしひきの山桜花一目だに 君とし見れば我れ恋ひめやも 万3970
*山桜を一目で良いから貴方様と共に眺められればどんなに嬉しいかと思います。

山吹の茂み飛び潜くうぐひすの 声を聞くらむ君は羨しも 万3971
*山吹の茂みを飛び回るウグイスの声を聞ける貴方様が羨ましくてなりません。

出で立たむ力をなみと隠り居て 君に恋ふるに心どもなし 万3972
 三月の三日、大伴宿禰家持
*外に出かける気力が湧かず家に引きこもって貴方様を思っているばかりで心もとない気がします。

【似顔絵サロン】『万葉集』継承に貢献した『梨壺の五人』のひとり:源 順 みなもと の したごう 911 - 983 平安時代中期の貴族・歌人・学者。三十六歌仙の一人。夕さればいとどわびしき大井川 かがり火なれや消えかへりもゆ(順集)
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=17

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