万葉集巻第十七4016-4020番歌(あゆの風いたく吹くらし)~アルケーを知りたい(1522)
▼今回の五首は、寒い時期の歌。4017番によると、越中では東風をあゆの風という。あゆの風、、、良い響き。
高市連黒人が歌一首 年月審らかにあらず
婦負の野のすすき押しなべ降る雪に 宿借る今日し悲しく思ほゆ 万4016
右、この歌を伝誦するは、三国真人五百国ぞ。
*婦負野のススキにのしかかるように雪が降っています。そのような日に宿を借りるのは心悲しい気分。
あゆの風 越の谷の語には東風をあゆのかぜといふ いたく吹くらし 奈呉の海人の釣する小舟漕ぎ隠る見ゆ 万4017
*東風の風が強く吹いているらしい。奈呉の海で漁師の小舟が波の間を見え隠れしながら漕ぎ進んでいる。
港風寒く吹くらし奈呉の江に 妻呼び交し鶴多に鳴く 一には「鶴騒くなり」といふ 万4018
*港風が寒く吹き晒しているらしい。奈呉の入江には、たくさんの鶴が妻を呼んでいる。
天離る鄙ともしるくここだくも 繁き恋かもなぐる日もなく 万4019
*都から遠く離れた田舎暮らし。都が恋しくて心が休まる日がない。
越の海の信濃 浜の名なり の浜を行き暮らし 長き春日も忘れて思へや 万4020
右の四首は、天平二十年の春の正月の二十九日、大伴宿禰家持
*長い春の一日、越の海の信濃浜を歩いた。その間も都を忘れたりしないものだ。
【似顔絵サロン】
三国 五百国 みくに の いおくに ? - ? 越中の官人。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=17
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