万葉集巻第十八4040-4043番歌(藤波の咲きゆく見れば)~アルケーを知りたい(1528)

▼前回の続きで、布勢の海を肴にした田辺福麻呂と家持のやりとり。とにかく、福麻呂は布勢の浦を見たいと、梅や藤の花も見たいと、ホトトギスも聞きたいと、楽しみを持ち出しています。すると家持が、ホトトギスはいなくて花が散るだけかも、と返して一連のやりとりが終了。この二人の歌には、やっぱりちょっと微妙な雰囲気を感じる。

布勢の浦を行きてし見てばももしきの 大宮人に語り継ぎてむ 万4040
*布勢の風景を眺めましたら、都にいる人に語りましょう。

梅の花咲き散る園に我れ行かむ 君が使を片待ちがて 万4041
*梅の花が咲き散る園に行きたいです。貴方様のお使いがいらっしゃるのを待ちながら。

藤波の咲きゆく見ればほととぎす 鳴くべき時に近づきにけり 万4042
 右の五首は田辺史福麻呂。
*藤の花が咲くのを見ますと、ほととぎすがやって来て鳴く時期が近づいた感じですね。

明日の日の布勢の浦廻の藤波に けだし来鳴かず散らしてむかも 一には頭に「ほととぎす」といふ 万4043
 右の一首は、大伴宿禰家持和ふ。
前の件の十首の歌は、二十四日の宴にして作る。
*明日、布勢の浦にほととぎすが来鳴かず、藤の花が散るだけなんてこともありますねえ。

【似顔絵サロン】橘奈良麻呂の乱に関係した人々:大伴 駿河麻呂 おおとも の するがまろ ? - 776 奈良時代の公卿。757年、橘奈良麻呂の乱に加わり流罪。梅の花咲きて散りぬと人は言へどわが標結ひし枝にあらめやも 万400
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=18

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