万葉集巻第十八4066-4069番歌(明日よりは継ぎて聞こえむ)~アルケーを知りたい(1534)
▼家持と廣繩はわりと気安い関係だったように感じる。万葉集巻18の編集をサポートしたという説もある。こういうポジティブな関係から出て来る歌は良い。4067番は遊行女婦(うかれめ)の作。場の空気を読んで和やかに活気づける潤滑油の役割だったことが分かる。
四月の一日に、掾久米朝臣廣縄が館にして宴する歌四首
卯の花の咲く月立ちぬほととぎす 来鳴き響めよふふみたりとも 万4066
右の一首は、守大伴宿禰家持作る。
*卯の花が咲く四月がやってきました。ホトトギスよ、ここに来て鳴いてくれ、まだつぼみであっても。
二上の山に隠れるほととぎす 今も鳴かぬか君に聞かせむ 万4067
右の一首は、遊行女婦土師作る。
*二上山で隠れているホトトギスよ、今来て鳴いてくれないか、わが君にお聞かせしたいから。
居り明かしも今夜は飲まむほととぎす 明けむ朝は鳴き渡らむぞ 二日は立夏の節に応る。このゆゑに、「明けむ朝は鳴かむ」といふ。 万4068
右の一首は、守大伴宿禰家持作る。
*今夜は朝までここで飲みましょう。夜が明けた朝はきっとホトトギスが鳴いて飛ぶことでしょう。
明日よりは継ぎて聞こえむほととぎす 一夜のからに恋ひわたるかも 万4069
右の一首は、羽咋の郡の擬主帳能登臣乙美作る。
*明日からは途切れることなく鳴き声が聞こえるでしょう。一晩違いで今日は恋しがって待っているのでしょう。
【似顔絵サロン】能登 乙美 のと の おとみ ? - ? 奈良時代の役人。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=18
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