万葉集巻第十八4080-4084番歌(暁に名告り鳴くなる)~アルケーを知りたい(1538)

▼奈良の都にいる叔母の坂上郎女と越中にいる家持のやりとり。顔を見たいという思いの伝え方が上手い。

 姑大伴氏坂上郎女、越中の守大伴宿禰家持に来贈する歌二首
常人の恋ふといふよりはあまりにて 我れは死ぬべくなりにたらずや 万4080
*「常の人」がいう恋しさ以上に、私は死にそうなくらい恋しいのですよ。

片思ひを馬にふつまに負はせ持て 越辺に遣らば人かたはむかも 万4081
*この私の思いの重荷を馬に載せて越中に送り届けたら(笑)、誰が担いでくれるでしょうね。

 越中の守大伴宿禰家持、報ふる歌幷せて所心三首
天離る鄙の都に天人しかく 恋すらば生ける験あり 万4082
*本物の都にいる「天の人」が田舎の都にいる私に、恋しいと仰ってくださるので、生きる甲斐もあるというものです。

常の恋いまだやまぬに都より 馬に恋来ば担ひあへむかも 万4083
*ふだんの恋しい気持ちの上に都から馬で恋しい気持ちが運ばれてきましたら、とても担ぎ切れるものではありますまい(笑)

 別に所心一首
暁に名告り鳴くなるほととぎす いやめづらしく思ほゆるかも 万4084
 右は、四日に使い付して京師に贈り上す。
*暁に私に言葉を贈ってくれるホトトギス。ますます懐かしく思えます。

【似顔絵サロン】橘奈良麻呂の乱に関係した人々:上道 斐太都 かみつみち の ひたつ ? - 767 奈良時代の貴族。757年、藤原仲麻呂を殺害する計画への参加を小野東人から勧められたので、藤原仲麻呂に知らせた。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=18

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