万葉集巻第十八4132-4133番歌(縦さにもかにも横さも)~アルケーを知りたい(1552)

▼池主が前回に続いて針袋ネタで家持に送った手紙と短歌。ふざけた表現だが、漢文に長けた池主の手にかかると名文になってしまう。「それ水を乞ひて酒を得るはもとより能き口なり」には笑っても良いのではないか、恐れ多いけど。

 さらに来贈する歌二首
駅使を迎ふる事によりて、今月の十五日に、部下の加賀の郡の境に到来す。
面蔭に射水の郷を見、恋緒深見の村に結ぼほる。
身は胡馬に異なれども、心は北風に悲しぶ。
月に乗じて徘徊れども、かつて為すところなし。
やくやくに来封を開くに、その辞云々とあれば、先に奉る書、返りて畏るらくは疑ひに度れるかと。
僕れ羅を嘱することをなし、かつがつ使君を悩ます
それ水を乞ひて酒を得るはもとより能き口なり
時を論じて理に合はば、何せむに強吏と題さむや。
尋ぎて針袋の詠を誦むに、詞泉酌めども渇きず
膝を抱き独り笑み、よく旅の愁を覘く
陶然に日を遣り、何をか慮らむ、何をか思はむ。
短筆不宣
 勝宝元年の十二月の十五日物を徴りし下司
 謹上 不伏使君 記室
別に奉る云々 歌二首
縦さにもかにも横さも奴とぞ 我れはありける主の殿外に 万4132
*上下の関係であろうと対等の関係であろうと、私は奴でありまして、ご主人様の館の外で控えております。

針袋これは賜りぬすり嚢 今は得てしか翁さびせむ 万4133
*針袋、これは確かに頂きました。今度はすり嚢を頂いて、翁っぽくしたいです。

【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々:藤原 小湯麻呂 ふじわら の おゆまろ ? - 764天平宝字8年10月17日 奈良時代の貴族。藤原仲麻呂の子。764年、藤原仲麻呂の乱で坂上石楯から斬殺された。































〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=18

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