万葉集巻第十九4139-4142番歌(春の日に萌れる柳を)~アルケーを知りたい(1554)

▼今回から巻十九。春の歌で始まっている。
4139番は絵になる歌。じっさい絵にしようとしたら、絵描きはどういう構図を考えるだろう。
4140番は目を地面に向けて、散っているのは花か雪かと詠う。こういう表現はチャンスがあればマネしたいぞ。
4141番は前二首とうって変わった雰囲気の歌。鴫(シギ)を動画で見ると昼でも悲しく聞こえる声。
4142番。この歌では、柳を攀じているのだが、どういう仕草なのだろう。枝を手にとってするりと手を動かす、みたいな? 昔の人はすぐ切り取ってかざそうとするのでこの歌でも同じことをしたのかと思ったが、芽ぶいた枝を手に取って眺め、都を思い出しただけのようだ。

 天平勝宝二年の三月の一日の暮に、春苑の桃李の花を眺矚めて作る歌二首
春の園紅にほふ桃の花 下照る道に出で立つ娘子 万4139
*春の園で桃の花が紅く咲いています。花輝く道に立つ娘さん。

我が園の李の花か庭に散る はだれのいまだ残りてあるかも 万4140
*私の庭に散っているのは李の花? それとも雪の消え残り?

 翻び翔る鴫を見て作る歌一首
春まけてもの悲しきにさ夜更けて 羽振き鳴く鴫誰が田にか棲む 万4141
*春を待つもの悲しい気分の夜遅く、羽をばたつかせて鳴く鴫。誰の田にいるのだろう。

 二日に、柳黛を攀ぢて京師を思ふ歌一首
春の日に萌れる柳を取り持ちて 見れば都の大道し思ほゆ 万4142
*春の日に芽を出している柳を手に持って見ると、都の大通りを思い出します。

【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々:藤原 薩雄 ふじわら の ひろお ? - 764 奈良時代の貴族。藤原仲麻呂の七男。764年、藤原仲麻呂の乱で官軍から斬殺。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19

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