万葉集巻第十九4187-4188番歌(藤波の花の盛りに)~アルケーを知りたい(1567)

▼家持とっておきの場所、布勢の水海の歌。舟で漕ぎ廻りながら陸の風景を見るのは最高だという。この場所を誉める歌は前の巻でも出て来た。よほど気に入ってたのだろう。
4187番は冒頭、思ふどち、ますらをおのこ、という好きなキーワードで始まる長歌。友達と見ると格別なのだ。
4188番の短歌は前の長歌の要約。ボートに乗って風景を見る、という非日常を経験したくなる。

 六日に、布勢の水海に遊覧して作る歌一首 幷せて短歌
思ふどち ますらをのこの
木の暗 繁き思ひを
見明らめ 心遣らむと
布勢の海に 小舟つら並め
ま櫂掛け い漕ぎ廻れば
乎布の浦に 霞たなびき
垂姫に 藤波咲きて
浜清く 白波騒き
しくしくに 恋はまされど
今日のみに 飽き足らめやも
かくしこそ いや年のはに
春花の 茂き盛りに
秋の葉の もみたむ時に
あり通ひ 見つつ偲はめ
この布勢の海を 万4187
*布勢の海に小舟を出して遊覧すると霞たなびく風景は見飽きるものではありません。通い続けて風景を見ましょう。

藤波の花の盛りにかくしこそ 浦漕ぎ廻つつ年に偲はめ 万4188
*藤波の花の盛りの時期に毎年、こうやって小舟で浦を漕ぎ廻りましょう。

【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々:大伴 田麻呂 おおとも の たまろ ? - ? 奈良時代の貴族。764年、藤原仲麻呂の乱に連座して官位剥奪。伊勢老人が三河守の後任。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19


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