万葉集巻第十九4203-4206番歌(家に行きて何を語らむ)~アルケーを知りたい(1571)

▼今回、わりと軽めの歌四首。
4203番は、ホトトギスを聞きに来たのに鳴かないのでクレームをつけている歌。
4204番は、家持が手にしたホホガシの大きな葉っぱを友達の恵行がデカいですなーと言っている歌。
4205番は、それに対して家持が、昔はこれを折って器にして酒を呑んでたらしいですな、と応じる歌。
4206番は、家持が仲間と馬並めて移動しているとき「どうです、この月。馬をとめてじっくり眺めましょうや」と提案する歌。

 霍公鳥の喧かぬことを恨むる歌一首
家に行きて何を語らむあしひきの 山ほととぎす一声も鳴け 万4203
 判官久米朝臣広繩
*ホトトギスを聞きに来たのに、鳴かないじゃないか。家に帰って何を土産話にすれば良いのか。山ホトトギスよ、一声くらいここで鳴けよ。

 攀ぢ折れる保宝葉を見る歌二首
我が背子が捧げて持てるほほがしは あたかも似るか青き蓋 万4204
 講師僧恵行
*貴方様が大事に捧げ持つホホガシは、まるで青い天蓋のように見えます。

すめろきの遠御代御代はい重き折り 酒飲みきといふぞこのほほがしは 万4205
 守大伴宿禰家持
*昔の時代は、このホホガシを重ね折って酒器にしたそうですよ。

 還る時に、浜の上にして月の光を仰ぎ見る歌一首
渋谿をさして我が行くこの浜に 月夜飽きてむ馬しまし止め 万4206
 守大伴宿禰家持
我われは渋谿を目指してこの浜を進んでいますが、月を心行くまで眺めたいのでしばし馬を止めましょう。

【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々:石川 氏人 いしかわ の うじひと ? - 764天平宝字8年10月17日 奈良時代の貴族。764年、藤原仲麻呂の乱では藤原仲麻呂側に加担して斬殺。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19

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