万葉集巻第十九4207-4208番歌(我がここだ待てど来鳴かぬ)~アルケーを知りたい(1572)

▼今回も家持がホトトギスをネタに広繩に贈った長歌と短歌。自分ちではホトトギスは鳴いてくれない、君んちではよく鳴いている、それは良いとして、鳴いているのを君は一人で聞いて私には教えてくれないんだ、と恨みがましく詠ってみせるコミュニケーション和歌。

 二十二日に、判官久米朝臣広繩に贈る霍公鳥を怨恨の歌一首 幷せて短歌
ここにして そがひに見ゆる
我が背子が 垣内の谷に
明けされば 榛のさ枝に
夕されば 藤の茂みに
はろはろに 鳴くほととぎす
我がやどの 植木橘
花に散る 時をまだしみ
来鳴かなく そこは恨みず
しかれども 谷片付きて
家居れる 君が聞きつつ
告げなくも憂し 万4207
*貴方様の家の庭ではろはろに鳴くほととぎすは我が家の庭に来て鳴いてくれない。それは良いとしても、貴方様は家にいて聞きながら知らせてくれないのはひどいな。

 反歌一首
我がここだ待てど来鳴かぬほととぎす ひとり聞きつつ告げぬ君かも 万4208
*私がここで待っているのに来て鳴いてくれないホトトギス。それを独りで聞きながら知らせてくれない貴方様。

【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々:阿倍 小路 あべ の こみち ? - 764天平宝字8年10月17日 奈良時代の貴族。764年、藤原仲麻呂の乱では仲麻呂側に加担し、敗走し斬殺。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19

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