万葉集巻第十九4220-4221番歌(かくばかり恋しくあらば)~アルケーを知りたい(1577)
▼今回の二首は大伴氏坂郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)が自分の娘に贈った長歌と短歌。これはアルケーを知りたい (1562)にある、娘が母に贈った4169番と4170番の返信。大伴氏坂郎女は家持の叔母で娘は家持の妻。
京師より来贈する歌一首 幷せて短歌
海神の 神の命の
み櫛笥に 貯ひ置きて
斎くとふ 玉にまさりて
思へりし 我が子にはあれど
うつせみの 世の理と
ますらをの 引きのまにまに
しなざかる 越道をさして
延ふ蔦の 別れにしより
沖つ波 撓む眉引き
大船の ゆくらゆくらに
面影に もとな見えつつ
かく恋ひば 老いづく我が身
けだし堪へむかも 万4220
*わが娘と別れて、恋しい思いが募るばかりなので、老いていく我が身が堪えられるだろうか。
反歌一首
かくばかり恋しくあらばまそ鏡 見ぬ日時なくあらましものを 万4221
右の二首は、大伴氏坂郎女、女子大嬢に賜ふ。
*離れると恋しいので、一緒にいるとき、もっとそなたを見ておけばよかった。
【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々:平群 虫麻呂 へぐり の むしまろ ? - ? 奈良時代の貴族。764年、藤原仲麻呂の乱では孝謙上皇側に与したので乱の後、昇進、村国子老に代わって能登守に。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19
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