万葉集巻第十九4226-4229番歌(この雪の消残る時に)~アルケーを知りたい(1579)
▼今回は雪をめぐる四首。4226番は、雪が消えないうちに見に行こう、という歌。
4227番は、めったにない大殿の雪景色だから、近づいたり踏んだりしないように、という歌。
4228番は、前の歌の反歌なので、同じことを重ねて謳っている。
4229番は、前の3首と反対に、皆で雪を踏んで平らにして楽しく宴会をやろう、という歌。
万葉時代の人はホント、寒さに強い。
雪の日に作る歌一首
この雪の消残る時にいざ行かな 山橘の実の照るも見む 万4226
右の一首は、十二月に大伴宿禰家持作る。
*この雪が消えないで残っている間に参りましょう。山橘の実が雪で輝いているのを見たいから。
大殿の この廻りの
雪な踏みそね しばしばも
降らぬ雪ぞ 山のみに
降りし雪ぞ ゆめ寄るな
人や な踏みそね
雪は 万4227
*この大殿に降った雪は踏まないように。めったに降る雪ではないから。
反歌一首
ありつつも見したまはむぞ大殿の この廻りの雪な踏みそね 万4228
右の二首の歌は、三形沙弥、贈左大臣藤原北卿が語を承けて作り誦む。
これを聞きて伝ふるは、笠朝臣子君。
また後に伝え読むは、越中の国の掾久米朝臣広繩ぞ。
*降ったままの状態でご覧いただきたいのです。大殿の廻りの雪を踏み荒らさないように。
天平勝宝三年
新しき年の初めはいや年に 雪踏み平し常かくにもが 万4229
右の一首は、正月の二日に、守が館に集宴す。
時に、降る雪ことに多にして、積みて四尺あり。
すなはち、主人大伴宿禰家持この歌を作る。
*新しい年の初めは、年を重ねても皆で集まり、このように雪を踏んで平らにして賑やかでありたいものです。
【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々:橘奈良麻呂の乱に関係した人々:答本 忠節 とうほん ちゅうせつ ? - 757 奈良時代の百済系の官人・医師。757年、乱に加担、杖で打たれて獄死。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19
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