万葉集巻第十九4230-4233番歌(降る雪を腰になづみて)~アルケーを知りたい(1580)

▼4230番は、雪が凄く積もった道を雪漕ぎして繩麻呂主催の宴会にやって来た、という話なので、家持の野外活動能力は尋常じゃない(笑)。万葉時代の人の活動力は凄い。
4231番も雪つながりの歌。家持のナデシコ好きを知っている広繩が雪の岩に造花を乗せて驚かせた話。ホスピタリティ満点。
4232番は、ナデシコをかんざしに、という歌。花のネタで盛り上がっている。宴会の参加者もよく心得たものだ。
4233番は、宴会が続き、鶏の鳴き声が聞こえ始めた。雪はまだ降っている。宴会主催者の繩麻呂が、これじゃ帰れませんよねえと詠う。
万葉時代は時の流れはゆったり、みなさんの体力もたっぷりのようだ。

降る雪を腰になづみて参り来し 験もあるか年の初めに 万4230
 右の一首は、三日に介内蔵忌寸繩麻呂が館に会集して宴楽する時に、大伴宿禰家持作る。
*大雪なので雪漕ぎしてここまで来ました、年の初めにめでたいことです。

 時に、雪を積みて重巌の起てるを彫り成し、奇巧みに草樹の花を綵り発す。
これに属きて掾久米朝臣広繩が作る歌一首
なでしこは秋咲くものを君が家の 雪の巌に咲けりけるかも 万4231
*なでしこはふつう秋に咲くのですが、貴方様の家では雪の巌に咲いていますね。

 遊行女婦蒲生娘子が歌一首
雪の山斎巌に植ゑたるなでしこは 千代に咲かぬか君がかざしに 万4232
*雪が積もった岩に植えたなでしこはずっと長い間咲いてくれないものか、貴方様の挿頭として。

 ここに、諸人酒酣にして、更深けて鶏鳴く。
これによりて、主人内蔵伊美吉繩麻呂が作る歌一首
うち羽振き鶏は鳴くともかくばかり 降り敷く雪に君いまさめやも 万4233
*いくら羽を振って鶏が鳴いても、これだけ雪が降っているのですから、貴方様はお帰りになれるでしょうか。

【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々:矢田部 老 やたべ の おゆ ? - 764天平宝字8年 奈良時代の官吏。764年、藤原仲麻呂の乱で紀船守に射殺。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19

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