万葉集巻第十九4236-4237番歌(うつつにと思ひてしかも)~アルケーを知りたい(1582)

▼4230番から始まる雪の日の宴会の歌。今回の二首はこれまでと趣がガラッと違って悲歌が登場する。なぜ宴会で悲歌なのか、伝誦が遊行女婦(うかれめなのか、謎。

 死にし妻を悲傷しぶる歌一首 幷せて短歌 作主不詳
天地の 神はなかれや
愛しき 我が妻離る
光る神 鳴りはた娘子
携はり ともにあらむと
思ひしに 心違ひぬ
言はむすべ 為むすべ知らに
木綿たすき 肩に取り懸け
倭文幣を 手に取り持ちて
な放けそと 我れは祈れど
まきて寝し 妹が手本は
雲にたなびく 万4236
*天と地に神はいないのか。去らないでと祈っても愛しい妻は雲にたなびいている。

 反歌一首
うつつにと思ひてしかも夢のみに 手本まき寝と見ればすべなし 万4237
 右の二首、伝誦するは遊行女婦蒲生ぞ。
*現実のことと思いたい。一緒にいるのは夢だけと思うと何もすべがなくて悲しすぎます。

【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々:紀 船守 き の ふなもり 731 - 792 奈良時代の公卿。764年の藤原仲麻呂の乱で、天皇の御璽を奪いに来た仲麻呂方の矢田部老を射殺した。この功労で8階級昇進。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19

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