万葉集巻第十九4238-4241番歌(君が行きもし久にあらば)~アルケーを知りたい(1583)

▼4328番は送別の歌、、、なのかな。しばしの別れだけど、別れは寂しいものがあるよね、の歌なのか。ますらをの家持がたおやめの面を見せている、と思ふ。
4239番は、ホトトギスを待っているけど籠っていてここまで来て鳴いてくれないと詠う。会えぬ寂しさを詠っているので、前の4238番と調子が合う。
4240番と4241番は遣唐使を送り出す側と送りだされる側の歌のセット。道中の安全を神に祈る歌と不在の間も変わらずいてくださいと祈る歌。両方とも幸いを祈る歌。

 二月の二日、守が館に会集し宴して作る歌一首
君が行きもし久にあらば梅柳 誰れとともにか我がかづらかむ 万4238
 右は判官久米朝臣広繩、正税帳をもちて、京師に入らむとす。
よりて、守大伴宿禰家持この歌を作る。
ただし、越中の風土、梅花柳絮三月にして初めて咲くのみ。
*貴方様が行ってしまって長い間不在となれば、梅柳の時期、いったい誰と一緒にかづらにして遊べばよいのでしょう。

 霍公鳥を詠む歌一首
二上の峰の上の茂に隠りにし そのほととぎす待てど来鳴かず 万4239
 右は、四月の十六日に大伴宿禰家持作る。
*二上山の峰の繁みに隠れているというホトトギス、待っているけど来て鳴いてくれない。

 春日にして神を祭る日に、藤原太后の作らす歌一首
 すなはち、入唐大使藤原朝臣清河に賜ふ 参議従四位下遣唐使
大船に真楫しじ貫きこの我子を 唐国へ遣る斎へ神たち 万4240
*大型船で唐の国向けて出帆する私の部下たちを、神様、どうかお守りください。

 大使藤原朝臣清河が歌一首
春日野に斎くみもろの梅の花 栄きてあり得て帰り来るまで 万4241
*春日野に植えた神をお招きする梅の花よ、我われが帰るまで咲き栄えていておくれ。

【似顔絵サロン】藤原 清河 ふじわら の きよかわ ? - ? 奈良時代の公卿。遣唐大使。阿倍仲麻呂と共に唐朝に仕えた。あらたまの年の緒長く我が思へる児らに恋ふべき月近付きぬ 万4244
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19

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