万葉集巻第十九4254-4255番歌(秋の花種にあれど)~アルケーを知りたい(1588)
▼5年に及ぶ越中赴任を終えて都に帰る途上、家持がおそらく弾む気持ちで詠った長歌と短歌。タイトルに「興に依りて預め作る侍宴応詔の歌」とあるから、宴会で盛り上がる場面を想定してあらかじめ作っているのだ。何事も準備が大切。
京に向ふ路の上にして、興に依りて預め作る侍宴応詔の歌一首 幷せて短歌
蜻蛉島 大和の国を
天雲に 磐舟浮べ
艫に舳に 真楫しじ貫き
い漕ぎつつ 国見しせして
天降りまし 払ひ平げ
千代重ね いや継ぎ継ぎに
知らし来る 天の日継と
神ながら 我が大君の
天の下 治めたまへば
もののふの 八十伴の男を
撫でたまひ 整へたまひ
食す国の 四方の人をも
あぶさはず 恵みたまへば
いにしへゆ なかり瑞
度まねく 申したまひぬ
手抱きて 事なき御代と
天地 日月とともに
万代に 記し継がむぞ
やすみしし 我が大君
秋の花 しが色々に
見したまひ 明らめたまひ
酒みづき 栄ゆる今日の
あやに貴さ 万4254
*我が大君が秋の花をご覧になり皆で酒宴を開き栄える今日の何と貴いことでしょう。
反歌一首
秋の花種にあれど色ごとに 見し明らむる今日の貴さ 万4255
*秋の花はたくさんの種類がある。それぞれをご覧になりお心をお晴らしになる今日のなんと貴いことでしょう。
【似顔絵サロン】孝安天皇 こうあんてんのう ? - ? 第6代天皇。皇居が秋津島(蜻蛉島)=奈良県にあった。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19
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