万葉集巻第十九4268番歌(この里は継ぎて霜や置く)~アルケーを知りたい(1593)

▼今回は訪問した先で言葉を贈るときの見本の歌。「黄葉せる沢蘭一株を抜き取」って贈る言葉の象徴にする。同じような機会があれば見習うことにします。今回の一首には関係者が四名、うち三名が女性。

 天皇太后、共に大納言藤原家に幸す日に、黄葉せる沢蘭一株を抜き取りて、内侍佐々貴山君に持たしめ、大納言藤原卿と陪従の大夫等に遣し賜ふ御歌一首
 命婦誦みて曰はく、
この里は継ぎて霜や置く夏の野に 我が見し草はもみちたりけり 万4268
*この地では次々に霜が降りるのであろう、夏の野で私が見た草は紅葉しています。

【似顔絵サロン】佐々貴山君 ささきのやまのきみ ? - ? 孝謙天皇の内侍(女官)。天皇は内侍に沢アララギ(サワヒヨドリ、ヒヨドリバナの仲間)の黄葉を持たせて大納言藤原仲麻呂に賜ったのが4268番。
















孝謙天皇 こうけんてんのう 718 - 770 第46代天皇。史上6人目の女性天皇。道鏡を法王にした。















光明皇后 こうみょうこうごう 701 - 760 藤原不比等と県犬養橘三千代の子。聖武天皇の皇后で孝謙天皇の生母。
















藤原 仲麻呂  ふじわら の なかまろ 恵美押勝 706 - 764 奈良時代の公卿。藤原武智麻呂の次男。天雲の去き還りなむもの故に思ひそ我がする別れ悲しみ 万4242
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19

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