万葉集巻第十九4273-4278番歌(天地と相栄えむと)~アルケーを知りたい(1595)
▼今回の歌の背景にある新嘗祭とは「天皇がその年に収穫された穀物を供えて感謝の奉告を行い、神からの賜りものとして食する儀式」(Wikipedia)だそうだ。この肆宴( とよのあかり )宴会で幹部たちが詠んだ歌が六首あって、今回はそのうちの前半の三首。
4273番の結び「貴く嬉しき」が良い、特に「嬉しき」が良きと思ふ。なぜそう思うのか・・・たぶん仕事をして「嬉しき」という心持ちになるのが大事なことと思うからだろう。
4274番は、綱が張られている風景が見えて来そう。見たことないけど(笑)。
4275番は、酒を歌っている。やはり宴会では酒が出ないとね。
二十五日に、新嘗会の肆宴にして詔に応ふる歌六首 ※以下、前半の三首
天地と相栄えむと大宮を 仕へまつれば貴く嬉しき 万4273
右の一首は大納言巨勢朝臣。
*天地と共に栄える大宮に仕えられるのは、何とも貴く嬉しいことです。
天にはも五百つ綱延ふ万代に 国知らさむと五百つ綱延ふ 古歌に似ていまだ詳らかにあらず 万4274
右の一首は式部卿石川年足朝臣。
*天には多くの綱が張られています。治世を知らせるために多くの綱が張られています。
天地と久しきまでに万代に 仕へまつらむ黒酒白酒を 万4275
右の一首は従三位文室智努真人。
*天地と共にこれから先ずっとずっと仕えましょう、黒酒白酒を捧げます。
【似顔絵サロン】巨勢 奈弖麻呂 こせ の なでまろ 670 - 753 奈良時代の公卿。父は巨勢人。万葉歌人。
石川 年足 いしかわ の としたり 688 - 762 飛鳥時代末期~奈良時代中期の公卿・歌人。蘇我安麻呂の孫。石川石足の長男。清廉・勤勉な性格。政治に習熟。楽しみは読書。
文室 真人 ふむや の まひと / 邑知王 おほち の おほきみ 704 - 780 奈良時代の皇族・公卿。天武天皇の孫。長皇子の七男。智奴王と兄弟。天平18年、元正天皇の雪の宴に参じ、藤原豊成・巨勢奈弖麻呂・大伴牛養ら17名と共に歌を作り天皇に上奏するも記録されず。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19
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