万葉集巻第十九4273-4278番歌(島山に照れる橘)~アルケーを知りたい(1596)
▼今回は新嘗会の肆宴の楽しい歌、前回に続く後半の三首。
4276番では橘の枝を頭に差してかんざしにしている。たのしげだ。祭でお面を頭に乗っけるのはその名残だろうか。
4277番でウグイスが出た。続く4278番で家持は大好きなウグイスではなく、葛と梅を取り上げて参加者の視線をより遠くに導いている。
二十五日に、新嘗会の肆宴にして詔に応ふる歌六首 (後半の三首)
島山に照れる橘うずに挿し 仕へまつるは卿大夫たち 万4276
右の一首は右大弁藤原八束朝臣。
*島山で輝いている橘をかんざしにしてお仕えているのは卿大夫たちです。
袖垂れていざ我が園にうぐひすの 木伝ひ散らす梅の花見に 万4277
右の一首は大和の国の守藤原永手朝臣。
*袖を垂らして、さあ我が家の庭へどうぞ。ウグイスが木を伝って梅の花を散らすのを見に。
あしひきの山下ひかげかづらける 上にやさらに梅をしのはむ 万4278
右の一首は少納言大伴宿禰家持。
*山の麓の日陰では葛が這っています。山の上には梅があります。これも愛でましょう。
【似顔絵サロン】藤原 真楯 ふじわら の またて/初名は八束 やつか 715 - 766 奈良時代の公卿。藤原北家の祖・藤原房前の三男。山上憶良と交流。
藤原 永手 ふじわら の ながて 714 - 771 奈良時代の公卿。藤原北家、藤原房前の次男。真楯の兄。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19
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