万葉集巻第二十4293-4294番歌(あしひきの山行きしかば)~アルケーを知りたい(1601)
▼今回から万葉集の最終巻、巻二十。最初が仙人が出て来る歌、次が山に行く仙人の気持ちが分からないし、その仙人が出会ったという仙人って一体誰や?、という歌。最初はとぼけた歌だと思って笑うんだけど、いや立派な歌が載っているはずの万葉集の歌だから、そんなはずはないかも知れないと思い返し、もう一度読む。でも、ふたつとも遊びだらけの歌だと思ふぞこれ。巻二十が楽しみ。
山村に幸行す時の歌二首
先太上天皇、陪従の王臣に詔して曰はく、「それ諸王卿等、よろしく和ふる歌を賦して奏すべし」とのりたまひて、すなはち口号びて曰はく
あしひきの山行きしかば山人の 我れに得しめし山づとぞこれ 万4293
*山に行くと山で暮らす人が私に暮れた山の土産です、これは。
舎人親王、詔に応へて和へまつる歌一首
あしひきの山に行きけむ山人の 心も知らず山人や誰れ 万4294
右は、天平勝宝五年の五月に、大納言藤原朝臣が家に在る時に、事を奏すによりて請問する間に、少主鈴山田史土麻呂、少納言大伴宿禰家持に語りて曰はく、「昔、この言を聞く」といふ。
すなはちこの歌を誦ふ。
*山に行ったという山人の気持ちが分かりませんが、この山人というのはいったい誰なのでしょう。
【似顔絵サロン】元正天皇 げんしょうてんのう 680 - 748 第44代天皇。在位:715 - 724 独身で即位した初めての女性天皇。母親は元明天皇。
舎人親王 とねりしんのう 676 - 735 天武天皇の皇子。政治家・歌人。729年、長屋王の変では、新田部親王らと共に罪を糾問。
山田 土麻呂 やまだ の つちまろ/ひじまろ ? - ? 奈良時代の官吏。
大伴 家持 おおともの やかもち 718 - 785 公卿・歌人。三十六歌仙の一人。万葉集の編者。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=20
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